こんにちは。
今日は「運送業(トラック・バス・タクシー)の点呼に「睡眠不足」の確認が必要に!」のお話です。
運送事業者は毎朝、乗務員が出勤してきて、車に乗って行く前に、運行管理者による「点呼」を行う事が義務付けられています。
これを乗務前点呼と言います。
逆に一日の仕事が終わり、営業所に帰って来た際にも運行管理者が点呼を行います。
これを乗務後点呼と言います。(補助者等の細かい話は今回は置いておきます。)
今回の「睡眠不足」の確認を求められるのは、乗務前点呼になります。
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点呼って何?
点呼とは、安全運行に関する確認と指示です。
この確認と指示、2点を行う為に様々な確認事項があります。
例えば、アルコールチェックや公示、規制の状況、気象による道路の危険性について指示を行う事も点呼の中の確認・指示事項に含まれます。
どのような点呼を行ったのかを記録する書類が点呼簿と呼ばれ、点呼簿は1年間の保存義務があります。
適正化機関や運輸局からの巡回指導や監査の際には、必ず確認される書類となります。
この点呼簿に「睡眠不足」の確認欄が追加で設けられ、確認する事が求められます。
いつから確認が必要になるの?
平成30年4月20日に改正された運輸規則により、平成30年6月1日から義務付けとなります。
何が改正されたの?睡眠不足の確認方法は?
改正されたのは、運送法ではなく、運輸規則が改正されました。
改正事項のポイントは
1.乗務員を乗務させてはならない事由として、「睡眠不足」を追加する。
2.乗務員への乗務前点呼、乗務途中点呼で報告を求め確認を行なう事項として、点検、酒気帯び、疾病・疲労とともに、「睡眠不足により安全な運転をすることができない恐れの有無」を追加する。
3.運転者が遵守すべき事項として、睡眠不足により安全な運転をすることができない等のおそれがあるときは、その旨を事業者に申し出ることを追加する。
4.点呼時の記録事項として「睡眠不足の状況」を追加する。
睡眠不足の確認方法は、点呼時に運行管理者が対面で、十分な睡眠を取ったのかを乗務員本人から口頭で確認します。
睡眠不足の定義は無く、あくまでも乗務員の自己申告となります。
具体的な確認方法としては、点呼時に「じゅうぶんな睡眠は取れていますか?」と確認します。
ここで注意したいのは、何時間寝たかは問題ではありません。
人によって、4時間寝ればじゅうぶんな人もいれば、10時間寝ても眠気に襲われるひともいるためです。
しかし、じゅうぶんな睡眠が取れていないのにもかかわらず、乗車させてはいけません。
なぜ、睡眠不足の確認が必要になったの?
居眠り運転に起因する事故を防止し、働き方改革を進める観点から、乗務員の睡眠時間の確保する事が目的です。
ここで注意したいのが、乗務員個人の都合による寝不足というものではなく、業務の構造から否応なく睡眠不足に陥っている場合があります。
事故運転者は取り調べにおいて「疲れているとか、眠いという言葉は弱音を吐いていると運行管理者に思われるので言えなかった」と供述しているケースもあり、こうした本音を言えない状況が、過労運転事故が多発する背景があります。
まとめ
トラックやバスといった大型の車で事故を起こした場合の被害は甚大になりますし、睡眠不足による死亡事故は通常運転と比べて約5倍にも跳ね上がります。
現状を踏まえ国土交通省では、今回の改正により乗務員の自主的な申告を義務づけ、睡眠不足が原因となる事故の発生を抑制したい意向です。
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本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。