こんにちは。
今日は「貸切バスの許可更新l審査期間や法令試験、不許可の要件は」のお話です。
あの痛ましいバス事故から道路運送法が改正され、一般貸切旅客(貸切バス)の許可更新制度が発足し約1年半が経ちました。
僕の事務所でも何件かお手伝いさせて頂き、無事に更新できました。
公示によると標準処理期間(何も無ければだいたいこれくらいの期間で許可となる目安の期間)が4~6ヶ月となっていますが、感覚的にはまだまだ時間がかかりそうな予感がしてます。
これだけ遅れた理由は、主に2つあると考えています。
1.行政の現場レベルでは何も決まっていないのに、トップダウンで更新制度を決めてしまった。
2.人員不足
[toc]
更新制度の見切り発車
一般貸切旅客の許可更新は2017年4月1日からスタートしましたが、その時点では、申請書の様式すら決まっていませんでした。
しかし、上が決めた事なので、更新申請をしないことには許可は失効してしまいます。
なので、とりあえず申請書(1枚目だけ)にハンコだけ押して出して下さいというのが、現場レベルの対応でした。
その後も、後付けで様式の変更をしたりで、審査内容が定まらないままの期間が長く続きました。
人員不足
バス事業者への監査の強化も必要になり、なかなか許可の更新を担当する人員に増員が見込めず、許可更新の審査担当が2名ってところもありました。
審査は運輸局で行われますので、ある程度の範囲をカバーすることになります。
例えば、関東運輸局では「東京、埼玉、神奈川、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨」の8都道府県から出された申請を、近畿運輸局では「大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀」の6都道府県から出された申請を審査します。
これだけの範囲から申請された書類を審査するのですから、もう少し人員を増やして欲しいところです。
許可がされないのはどんな場合?
更新申請が許可されない場合は色々とありますが、特に申請書に添付する事業収支見積書について、審査すらしてもらえないレベルで、以下4点に気をを付ける必要があります。
1.人件費、車両修繕費等について、必要な単価を下回る数字に基づく収支を作成している場合
→最低賃金を下回っている場合や、修繕費についてはあらかじめ金額が決められている為
2.計画上、5年間連続で収支を赤字にしている場合
→次の更新まで赤字なら廃業して下さいという趣旨です
3.更新許可で申請直近1事業年度の財務状況が債務超過かつ直近3事業年度収支が赤字である場合
→黒字化の見込みが無いので、廃業して下さいという趣旨です。
4.許可時から更新申請時まで毎年連続して行政処分を受けている場合
→違反を繰り替えず事業者は更新させませんという趣旨です。
法令試験の概要
許可更新申請をすると、法令試験を受ける事が出来ます。
この法令試験は、各会社の代表取締役(厳密には代表権のある常勤の役員)1名のみが受験資格があります。
試験時間は40分、問題数30問で正答率90%以上で合格となる非常にハードルが高いものとなります。
しかし、これまで事業を営んでいた方にとってはそこまで難しい内容ではありません。
法令試験には大企業寄りの抜け道(言い方が悪いですね)があり、安全評価認定制度において1ツ星以上を取得している事業者は試験免除の決まりがあります。
つまり、現場での経験や法律の知識がある中小バス会社の社長は試験を受ける必要があり、現場の事や法律を知らない大企業の社長は試験を免除されるのです。
法令試験には、落ちてしまった場合は、どうなるのか?
安心して下さい、救済措置があります。再試験はもう1回受ける事ができます。
では、それでも落ちてしまったら?
基礎講習を受ける事で、再度試験を受けることが出来るようになります。
まとめ
バスの許可が更新制となり、約1年半が経ちましたが、まだまだ実際に更新となった事業者は少ないです。
しかし、更新許可申請書に受付だけ出来ていれば、(不許可となるまで)事業の継続は可能なので、現在、宙ぶらりんの事業者は多数とみられます。
輸送の最低かつ最高条件は安心・安全な事ですので、審査は厳しくして頂き、中途半端な事業者には業界から撤退して頂くのが、あるべき姿であると考えます。
安心・安全を追求する為には、人員面でも整備面でもお金が必要です。それを運賃が不当に安くする事業者と同じ土俵で戦えということに問題あるのです。
[st-midasibox title=”あわせて読みたい” fontawesome=”” bordercolor=”” color=”” bgcolor=”” borderwidth=”” borderradius=”” titleweight=”bold”]
【関連】行政書士が解説!あなたの「せどり」は、古物営業法違反になっていませんか?
[/st-midasibox]
本日も最後までお読み頂きありがとうございました。