こんにちは。
今日は「運送事業者の行政処分基準(処分日車数)が改正されました」のお話です。
過労防止、車両の点検、健康診断や社会保険の加入のチェックを重点的に監査をする事に伴い、行政処分の基準が強化されます。
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いつから?行政処分基準が改正されるの?
平成30年7月1日から運送業者(トラック、乗合バス、タクシー)の処分量定の引き上げが行われました。
では、具体的な内容を見ていきましょう。
処分日車数が大幅に引き上げ
主に、過労防止関連違反等の場合の車両停止処分の量定引き上げ、トラック事業者の使用車両停止処分の場合に営業所で保有する車両全体の最大5割に引き上げ等がメインとなります。
過労防止関連の違反について
現行と改正内容を表にするとこうなります。
現行 | 改正 |
乗務時間等告示遵守違反 ・未遵守5件以下 警告 ・未遵守6件以上15件以下 10日車 ・未遵守16件以上 20日車 ・未遵守31件以上3名以上 30日事業停止 |
乗務時間等告示遵守違反 1ヶ月の拘束時間及び休日労働の限度に関する違反した場合は現行の内容に下記内容を合算する。 ・未遵守1件 10日車 ・未遵守2件 20日車 |
健康状態の把握義務違反 ・把握不適切50%未満 警告 ・把握不適切50%以上 10日車 |
疾病、疲労等のおそれのある乗務 ・健康診断未受診者 1名 警告 ・健康診断未受診者 2名 20日車 ・健康診断未受診者 3名以上 40日車 |
社会保険等未加入 ・一部未加入 10日車 ・全部未加入 20日車 |
社会保険等未加入 ・未加入 1名 警告 ・未加入 2名 20日車 ・未加入 3名以上 40日車 |
トラック事業者だけの車両使用停止処分について
現行の内容
現行 | 配置車両数(台) | |||
処分日車数 | 1~10 | 11~30 | 31~60 | 61~100 |
~30日車 | 1 | 1 | 1 | 1 |
31~60 | 1 | 2 | 2 | 3 |
61~100 | 1 | 2 | 3 | 5 |
101~300 | 2 | 3 | 5 | 8 |
301~ | 3 | 3 | 5 | 10 |
これが、使用停止車両割合を全車両の最大5割に引き上げられます。
車両停止の現行と改正の対比
現行 | 改正 |
処分が150日のとき、営業所当たりの配置車両数が 5両の場合は、車両停止 2両(×75日) 10両の場合は、車両停止 2両(×75日) 100両の場合は、車両停止 7両(×18日)+1両(×24日) |
処分が150日のとき、営業所当たりの配置車両数が 5両の場合は、車両停止 2両(×75日) 10両の場合は、車両停止 5両(×30日) 100両の場合は、車両停止 15両(×10日) |
これは、トラック事業者にとっては、非常に痛いところを突かれた形となっていて、特に上のケースですと、営業所に10両しかないのに、5両が止められてしまいます。
半分も止められては、事業として成立しなくなります。
以前は同様のケースでも2両でしたので、傭車等でカバー出来ましたが、半分ともなれば、法令を遵守せざるを得ないことになります。
まとめ
現在、他業種と比べでも運送業界は高齢者の比率が高く、荷待ち等で労働時間が延び、連続運転や労働基準法を守らない事業者が後を絶ちません。
そんな業界なので、若い人も来てくれません。
もちろん、相応の運賃が荷主から貰えれば会社の労働条件も良くでき、それによって法令遵守が可能になり、若い労働者も参入してくれるのでしょう。
しかし、現状は荷主よりも運送業者を取り締まることしか出来ない行政に期待は持てません。
先般のスキーツアーバス事故でも事故を起こしたのは格安ツアーバス会社でした。
これが100%の理由ではありませんが、安全にはお金がかかるのです。
交代の運転手を乗せるには運転手を雇う必要がありますし、車両の点検整備にもお金が必要です。
安くて安全なんてものは存在しません。あとはバランスだけの問題です。
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本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。